北海道炭鉱研究会 羽幌炭鉱支部

朔北のヤマ 羽幌炭鉱

築炭ニュース 第26号(昭和26年10月15日)2面②

『主婦会の意見 公休返上で立派な会舘を! 中村カツさん談』

現在の会舘で特に感じさせられますのは場内が狭いのと設備が悪いので相当混雑していることです。子供など連れていきますと特に便所行きが思いやられます。お便所の完備と椅子席の設備をして下駄ばきでもはいれるよう考えて欲しいものです。

これは観覧者に望みたいのですが場内での紙きれや他のごみを散らかさないように何時も綺麗な所で気持よく観覧したいものです。

いろいろ苦情がましいことを述べましたがお隣りの羽幌二坑のように慰安所は私達の努力と意気込みで会社の方とも協力して公休出勤を返上してもらつても是非立派なものを建てゝ頂きたいと思つております。

『主婦会の意見 冬の会舘が思いやられる 上野花子さん談』

場内の混雑を考えますと子供達の同伴が気づかわれます。冬季間など防寒設備が悪いために皆さんは沢山の防寒着を持ち込まれるので歩行が困難であるのも悩みのたねです。

演劇などの舞台装置の不備やら映写室の不完全から雑音が多く、また撮影技師の未熟からか始終フイルムが切れたりして不愉快です。それに観覧者の不道徳から座席の前どりは殊に迷惑ですからお互いに注意しなければならないと思います。上映日は週四、五回是非やつて頂きたいまた場内に飲料水位は置いてもらいたいと思います。

『ある人の意見 熱意と奉仕でぜひ会舘を!』

(A)私達の職場や家庭でもかねてより話題にのぼつていましたが私達の何よりの娯楽施設である会舘だけにまたその関心も大きいことゝ思います。したがつて現在の設備装置の不完全は私達を充分に満足させて呉れないばかりか場内の雑沓に不快を催さざるを得ない現状は全く遺憾に思います。

数多い観覧者の中にはたまたま不道徳な人も居りますがこれと云ふのも設備の悪いところから已むを得ずと云ふ点からきていると思います。本当に楽しめる会舘、明日への原動力を与えて呉れる真の慰安所である会舘を是非私達の熱意と奉仕により建てたいと思います。会舘は私達の手でと云ふ心意気を皆さんと共に普及しまた努力致したいと思つて居ります。

(B)会舘への願望は誰でも同じでしよう。建つまで待てない程切つなく感じている現在、皆んなで建てる外はないと思います。足なみを揃えて羽幌二坑のように一日も早く実現したい。

『ある従業員の苦情』

築別炭礦も開礦十余年を迎えその間幾多の難事を克服して今日では出炭は勿論あらゆる面に飛躍的実績を挙げしかも対外的評判も頗る良しときいて欣びを共にする一人です。

しかしこれだけの山に最も必要な福利施設として明日への生気を養う唯一の娯楽場である会舘設備があの様な現状では全く憂うつになつてしまう。

出来得れば左記事項について早急善処方を切望します。

一、土足をぬいで上つて下さいとは実に非文明的だと思う。

今はどこへ行つても土足の儘で上られる様に改良している。実情に応ずる事も止むを得ないが、こゝはまるきり逆だ。係員が声を大にしてさけんでもおそらく無駄だと思う。

二、観覧席に通路がないので特に子供連のその不便さはこの上もない。子供は小便がしたくて泣きさけぶ、出るにも出られず、親は我慢しろとなだめるが無理なことで、すつたもんだで結局映画も安楽に観られず、どんな筋書で終つたかも解らないまゝ帰る始末。

三、空気ぬけがない。盛夏の候等はむし風呂にでも入つた様で死にものぐるいで観なければならない。

四、雨がボタボタ漏る。折角張替えた天井ベニヤ板が腐つて来ている。

五、座席の板張は夏はノミにいやと云う程喰われる、会舘のノミはエサに飢えているから少し位のDDTなどはききめがない。冬はつめたくてすわるのがおつくでならない、明日になるとお蔭で神経痛になやまされる。

六、玄関の入口が冬になると寒い、なんらかの措置を講じてほしい。

『出稼優良礦員番附

築炭ニュース 第26号(昭和26年10月15日)2面『出稼優良礦員番附