北海道炭鉱研究会 羽幌炭鉱支部

朔北のヤマ 羽幌炭鉱

築炭ニュース 第28号(昭和26年12月15日)1面①

発行所

北海道天塩国苫前郡羽幌町築別御料上流(電話羽幌15番) 羽幌炭礦鉄道株式会社

印刷人 金子長次

『両礦の出炭益々快調 年末の大採炭に拍車』

昭和二十六年一月以降連月出炭目標突破の記録を確保しつゝ本年最終月に入つた築別礦業所は昭和二十六年度有終の美を飾るべく年末採炭に拍車をかけているが出炭状況は羽幌礦業所と共に依然好調で十四日現在では

築別礦業所

月目標・一三、五三〇トン

十四日目標・六、二四〇トン

十四日実績・六、一三六トン

九八、三%

羽幌礦業所

月目標・九、二八〇トン

十四日目標・四、二八三トン

十四日実績・四、七三一トン

一一〇、五%

で下旬の追込みに底力が発揮されるとして両礦の目標突破は確実視されている。

一三、五三〇トン目標が突破せば羽幌炭礦鉄道株式会社として最高出炭記録であり築別礦業所としては開礦以来の記録となり又十二ケ月連続目標突破の輝やかしい記録が樹立され「躍進!築炭」の貫録を遺憾なく発揮されるもので各現場は非常な張りきりかたである。

<写真>支繰夫の坑道維持作業-築別本坑-

『築炭大立入開さく 八五米進む』

既報築別本坑主要運搬坑道大竪入は去る十月一日より開さくを開始してより連日ハツパの轟音が炭礦地区をふるわして大工事の進捗を想わせている。荒漠たる山間であつた場所は工事に要する諸施設が立並び、工事進行に伴い日々急激に変貌しつゝある。

開さく当初は泥岩である為山全体が押して来るので、ずつたりして三十二米の予定砂岩に達する為に一ケ月を要した困難な作業で開さくに挑む従業員の労苦は並大抵ではなかつた。砂岩の開さくは一日二米五〇で二六日現在坑口より約八五米を進行中である。

今月下旬頃には六トン電車、ベルトローダーが到着する予定でこれがとりつけられた暁には一日約六米の能率で進捗される予定で昭和二十八年にまたがる大竪入工事は昼夜兼行完成へとたゆまぬ努力が続けられている。

『中島係長談』

大竪入堀進八五米、築別鉱業所将来の大動脈、大竪入は二六日現在堀進延八五米に達しました。坑外の諸設備の整備は完了し又例外なく猛威を振うであろう冬将軍に備えての防雪設備も完了、切羽は計画の砂岩に入り工事は順調に進捗しています。当初坑口付近は地質的悪条件に充分悩まされましたが技術陣の敢斗と綿密なる堀進計画の研討と相俟つて所定の砂岩に逢着しています。此の炭種は比格的硬質砂岩でありますが風化盤眼の危惧は全くありません。

本切羽に於て足尾レツグ(サポータ)の使用は好成績で現在はこの使用も能率化して穿孔作業は人員の縮減とビツトの研究によつて、穿孔時間の短縮と併せて穿孔作業のエネルギー節減に役立つて居ます。尚十二月下旬には研積込機(ベルトローダー)及六〇蓄電車が到着する予定でダンプカーの使用と共に研処理作業が能率化せられ研処理作業の時間及労力の大幅な能率化が期待されています。

機械設備と技術習熟により一〇尺×八尺堀進一日六米の進行を可能にする為発破規格の設定及研処理の合理化等鋭意研究中であります。係員一同一日も早く大動脈を完成し、大運搬坑道から続々と黒ダイヤの山がはき出される日を楽しみに頑張つています。

<写真>大竪入隧道にとり組む掘進夫 12月26日現在 坑道開さく85米を進行した