羽幌炭鉱の先行研究
そもそも羽幌炭鉱ってなんだっけ?という方のために、
羽幌炭鉱のいろはを学ぶにあたって適した資料をご紹介します。
私だって羽幌の「は」の字すら知らない頃があったけれども、
苦節7年、多くの方の助けや資料収集のお陰もあって研究を続けて来られました。
後学のためになることを願うばかりです。
【閲覧レベル 下 そこら辺の図書館や本屋で見かける】
ないです。
羽幌炭鉱関係でそこら辺にある先行研究は無いです。
強いて言えば廃墟関係の写真集に1頁程度掲載された写真とかそんなものでしょう。
解説も僅かですし、期待しない方がいいと思います。
【閲覧レベル 中 大きな図書館だったらありそう】
①『新羽幌町史』
いきなり町史かよ…って思う人も多いかもしれませんが、
羽幌炭鉱の先行研究って本当に少ないです。
でもこれは買えます!
それに最新の町史なので、都道府県の図書館や大学の図書館に所蔵されている可能性が高いはずです。
私の大学には所蔵されていませんでしたが、5,000円なので買ってしまいました。
町史なので鉱業に限らず様々な面から町の歴史について触れているのも良いですね。
②『羽幌町史』
すみません。また町史です。
本当に世間に出回っている先行研究が無いんですよ。
『新羽幌町史』が2001年発行に対して、こちらは1968年発行と少し古め。
しかし、羽幌炭鉱が現役だったころの町史ともあり、内容はなかなか充実しています。
新品での入手は困難ですが、「日本の古本屋」などネットや古書店では出回っているようです。
『新羽幌町史』が発行されている分、こちらを所蔵している図書館は少なめです。
ただ双方見比べる価値は大いにあるでしょう。
【閲覧レベル 上 道内の図書館でなら所蔵されているはず】
③『悠久の夢をかけた羽幌炭砿~鈴木商店を起源に炭砿を振り返る~』
2015年に閉山45周年を記念して開催された「羽幌炭砿大同窓会」。
そこで配布されたのがこの記念誌です。
私は当時、研究を始めたばかりだったので参戦出来なかったのが心残り…
しかし、この資料は『新羽幌町史』と同様に買えます!
価格が1,000円だしお手頃ですね。
往時の写真や当時の職員の談話も紹介されていますし、
初めて羽幌炭鉱に触れるという方には最高の教科書かもしれません。
④『羽幌炭鉱小史』
この資料は羽幌炭礦鉄道㈱に勤めていた方が、
社報『石炭羽幌』の記事を収集して発行したものです。
元々、留萌新聞にて「はぼろ炭鉱小史」というタイトルで連載していましたが、
201号以降の『石炭羽幌』が手元に無かったことから一旦打ち切り。
その後、閉山に至るまでの『石炭羽幌』を入手したことから
漸くこの本の作成に至った、とのことでした。
生の史料を基に構成されているので、当時の炭鉱の様子が犇々と伝わってきます。
残念ながら発行元の留萌新聞社にも在庫がないとのことで、
現在は図書館に所蔵されているものしか見られないはずです。
先行研究はこんなところでしょう。
確かに三菱や三井、住友、北炭などに比べると羽幌は知名度は低めです。
それでも道北、留萌地方の羽幌町にかつて炭鉱があったということ、
年間100万トン以上の石炭を算出した活気溢れる炭鉱だったこと、
この事実が隠れてしまうのは非常に勿体ないことです。
今後書き進める記事が、羽幌炭鉱を知る上で皆様の役に立てるよう、心から願っています。